被災者支援を迅速・柔軟に行うための情報一元化システム(研修用)
はじめに(背景)
災害時の迅速かつ的確な被災者支援を実現するための災害対策本部用のシステムの相談が急増しています。そこで、研修用としてキントーンを活用した災害対策本部システムのプロトタイプを構築しましたのでその概要を説明します。
今までは、被災後に慌てて被災者台帳とは何かを理解することから始める自治体も多かったですが、異動等もあり災害対応に担当者が慣れていない場合などとても時間がかかってしまっていました。今後は、事前に研修等に活用してもらい事前の準備を積極的に進めていただければと思います。
すでにキントーンを導入済の自治体さまには、テンプレートの配布も行っていきますので、興味のある災害対策本部関連の担当職員の方は、[お問い合わせフォーム]よりご連絡お願いします。
システムの目的
本システムは、現場職員だけでなく外部支援団体も活用できる設計となっており、災害時の多様なニーズに迅速かつ柔軟に対応できる仕組みです。主な特長は以下の通りです。
- バラバラな情報をキントーンに一元化することで、情報の混乱を防ぎ、迅速な意思決定を支援します。
- クロノロアプリによる現地からの連絡徹底で、リアルタイムな状況把握を実現します。
- 全員が「同じ情報・地図」を見ながら活動することで、支援の重複や抜け漏れを防ぎます。
これらのシステムを参考に各自治体さまで現場に合わせてカスタマイズをして活用することが可能です。
災害対策本部システム概要
AIによる音声解説のため、一部発音が不明瞭な部分もありますので、字幕をオンにしてご覧いただくことを推奨します。
システム構成
本システムは、以下の12個のアプリで構成されています。
① 被災者台帳アプリ
被災者一人ひとりの基本情報や支援状況を管理し、個別対応の基礎となる台帳です。入力する項目は、内閣府により2025年8月に発行された「被災者台帳の作成等に関する簡単手引き」をベースに構成されています。被災者台帳アプリの項目カテゴリーは以下の表を参照ください。
| 基本情報 | 氏名や年齢、連絡先などの基本的な情報を管理します。 |
| 要配慮者情報 | 高齢者や障がい者など、特別な配慮に関する情報を記載します。 |
| 支援の必要性 | 食事や移動など日常生活に必要となる支援を記録します。 |
| 医療の状況 | 在宅酸素・透析などの医療支援の必要性や治療の状況を記録します。 |
| 台帳情報の提供 | 他機関への情報共有や提供に関する同意を記録します。 |
| 罹災証明の状況 | 罹災証明の取得状況を記載します。 |
| 住宅関係 | 住居の状況や仮設住宅の利用状況などを管理します。 |
| 義援金・支援金ほか | 各種支援金の受給状況や申請履歴を記録します。 |
| 減免・貸付ほか | 税金や公共料金の減免、貸付金などの状況を記載します。 |
② 相談記録アプリ
保健医療福祉に関わる団体が被災者からの相談内容を記録し、課題の把握や対応履歴の管理に活用します。相談記録アプリの活用により、被災者の心と体のケアをよりきめ細かく実施でき、災害ケースマネジメントによる長期的な見守りや暮らしと住まいの復興支援へと切れ目のない支援を続けることが可能となります。
| 身体的・精神的な状況 | 被災者の健康状態や精神面の状況を記録します。 |
| 日常生活の状況 | 生活習慣や日常の困りごとを把握します。 |
| 個別相談内容 | 個別の相談内容や対応履歴を記録します。 |
③ 避難者名簿アプリ
避難所ごとの避難者情報を一覧化し、避難所の混雑状況の把握や支援物資の配分の根拠となります。また、在宅避難や車中避難者の情報も一元管理します。広域避難した場合でも同じシステムを活用し、データフォーマットを統一することにより、移動先を把握できるように考慮されています。2026年2月時点で調布市の近隣である府中市、三鷹市、狛江市でフォーマット統一が図られています。
④ 要配慮者名簿アプリ
高齢者や障害者など、特に配慮が必要な方々の情報を管理し、迅速な安否確認やきめ細かな支援に役立てます。
⑤ 指定避難所アプリ
地域内の指定避難所の名称、住所、位置情報、全国共通IDが記録されたアプリです。フォームからの入力の際に検索して選択することで、入力ミスを防ぎます。
⑥ 罹災証明アプリ
被災者が罹災証明書を申請・発行するためのシステムから一部データを移植するアプリです。被災世帯の位置や被災状況が移植されます。
⑦ 住民基本台帳アプリ
必要に応じて、自治体の住基情報から一部データを移植するアプリです。
⑧ 支援団体アプリ
災害時に支援に集まる外部支援団体の活動内容や連絡先を管理し、連携や調整をスムーズに行うための基盤となります。
⑨ チェックインアプリ
職員や外部支援者の現地到着・活動状況を把握し、人的リソースの管理を効率化します。
⑩ 活動日報アプリ
職員や外部支援団体の日報を記録します。現場の課題を迅速に解決するだけでなく、次に現場入りするスタッフが現場の状況を事前に把握することができます。
⑪ クロノロアプリ
現地からの報告や進捗状況をリアルタイムに記録し、全体の状況把握と指示伝達を円滑にします。現地の位置情報や写真も本部に送ることができます。このアプリは、2023年のG7広島サミット医療本部で活用されたアプリの改良版です。
⑫ タスク管理アプリ
職員や外部支援団体の各スタッフのタスクの重複や漏れの無いようにタスクが完了するまで進捗の管理をします。
画面イメージ
キントーントップ画面
使用するアプリや連携するアプリが表示されています。メインで使用するのは、[被災者台帳][相談記録][被災者名簿][要配慮者名簿]の各アプリになります。また、各職員や外部支援団体が毎日活用するのは、[チェックイン][活動日報][クロノロ][タスク管理]アプリになります。[罹災証明][住民基本台帳]アプリは、被災自治体のLGWAN内のシステムから必要なデータをCSV経由でインポートします。
被災者台帳運用イメージ
被災後に、自治体のLGWAN内にある「住民基本台帳」「罹災証明」「避難者名簿」データからインターネット上にある「被災者台帳」アプリにデータをエクスポートするための「被災者台帳データ(エクセル or CSV)」を整理します。その際は、すべての情報ではなく、避難者名簿と罹災証明データをベースに必要最低限な情報のみを書き出します。
その後、被災者の識別番号(システムにより項目名は違う)をキーとして、罹災証明データをインターネット上にある「被災者台帳」アプリを随時更新します。
お問い合わせ
本システムに興味関心のある自治体の皆さま向けにシステムのオンライン説明を実施しています。すでにキントーンを導入済の自治体さまにはテンプレートの提供も実施しています。[お問い合わせフォーム]よりご連絡ください。


