サイボウズ災害支援チームの竹内義晴です。
2020年1月、サイボウズ災害支援プログラムが本格的に稼働します。
サイボウズでは、2011年の東日本大震災以降、大災害発生時に一部サービスの無償利用ができる特別ライセンスを提供してきました。
ここにきて、なぜ「チーム」としての災害支援がはじまるのでしょうか。この記事では、災害支援チームができることになった背景と、私たちが取り組んでいきたいことについて紹介します。
なぜ「チーム」として災害支援がはじまったのか
台風19号が発生した2019年10月12日(土)~13(日)、私は妻の実家がある長野県飯山市にいました。飯山市は水害があった千曲川沿いにある街です。
幸い、妻の実家はあと数十メートルのところで浸水は免れたものの、飯山市では多くの家屋が浸水しました。
危機迫る状況を体験し、災害を「自分ごと」のように感じた私は、数日後、災害ボランティアに参加しました。
ボランティアに参加して、大きく分けると2つのことを感じました。
1つは、「体を動かす支援も大切だけれど、得意なことを生かした災害支援もあるのではないか」です。
たとえば、医療に関わっている人がボランティアに参加したい場合、泥出しのような作業に関わることももちろん大切です。一方、専門的な知識を生かせる支援があるなら、そのような活動に関わったほうが、支援の意味や価値が大きいかもしれません。
同様に、もし、IT企業であるサイボウズの社員として関わるなら、「ボランティアセンターの運営に必要なIT機器の設定をする」「必要な物資の情報を集める」「それを、多くの人に知らせる」など、得意なことを生かした関わり方があるのではないか……と。
もう1つは、「製品の無償提供も大切だけれど、他にも、支援できることがあるのではないか」です。
どんなにツールを無償で提供しても、使いこなすためにはある程度の知識や経験が必要です。また、有事の際にストレスなく使え、情報共有ができるのは、普段から使っているツールだからこそです。
一方で、今回、個人としてボランティアに参加してみて、「でも、それは個人の力では無理」とも思いました。どのように関わったらいいのか分からないし、どのように現地に入って行けばいいのかも分からない。個人ではなく「チーム」としての活動が必要なのではないかと思ったのです。
有事の際は「事前のつながり」が重要
さらに、有事の際は「事前のつながり」が、とても大切なのではないかとも感じました。
たとえば、私はサイボウズで複業を行う傍ら、本業では、新潟でNPO法人を経営しています。そのため、新潟や長野には、NPOの活動をしている知人が数多くいます。
台風19号が発生したとき、その方々の迅速な動きには驚きました。ある人はFacebookグループを立ち上げ、情報交換をはじめたり、ある人は「とりあえず、PC3台とプリンター1台が欲しい」と自ら動いたり。機動力の大切さを痛感しました。
なぜ、有事の際に、このような迅速な動きができたのか……それは、「この困りごとは、〇〇さんに聞けばいい」といった、平時のつながりがあったからこそだからではないかと思うのです。
このような考えを、社内のグループウェアに書き込みました。
社内に「災害支援が豊富な人材」がいた
その書き込みは人づてにつたわりました。たどり着いたのは、開発本部の柴田哲史です。
なんでも柴田は、東日本大震災をきっかけに、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(通称、支援P)のメンバーとして、これまでに10か所以上の被災地でITを使った支援をしてきたといいます。
しかも、台風19号では現地に入り、長野県の災害ボランティア情報サイトや、サイボウズのkintoneを使ったボランティアバス予約システムの立ち上げなどを行っていました。これには正直、驚きました。
このようなやりとりから、社内では災害支援に関する機運が自然と高まり、「災害支援チームを作れないか」となったのです。
これから私たちが行うこと、目指すこと
災害支援チームは、サイボウズ社員有志によるボランタリーなチームです。
- 被災地でのIT支援を主とする現場ボランティア活動
- リモートでの情報収集、アプリ作成、データ入力、サイト制作等の後方支援
などを行います。さらに、PCやプリンター、ネットワーク機器、ケーブル類などをはじめ、提供が必要な場合、可能な範囲で機器を調達し無償で提供します。
また、平時から、災害支援の取り組みにご賛同くださったパートナーさまをはじめIT企業や、ITスキルをお持ちの方々と連携し、期間限定でのサービスの無償・優待提供、準備や連絡体制の整備などを行います。
地球温暖化など自然環境が変化する中、災害の頻度は年々高まっています。自然災害を止めることができれば一番いいのかもしれません。でもそれは、私たちの力では不可能です。災害は、これからも起きるでしょう。
でももし、災害が起こってしまったとき、私たちが協力しあうことによって、1日でも早く、被災された方の生活を、笑顔を取り戻すことならできるかもしれない……。
サイボウズ災害支援チームは、そのために生まれたのです。